本バージョンは、機能および装いも新たに「Firefox Quantum」と呼ばれる初のアップデートとなっており、従来のFirefoxと比べて大幅な性能アップとUI変更が行われています。
すでにFirefoxをご利用の方には自動アップデートの提供が開始されていますが、今までのバージョン違う変更点として、WebExtensions APIで作られたアドオンにしか対応していないという大きな変更点があるため、以下に記したような点に留意の上での更新をおすすめします。
■WebExtensions APIで作られた拡張機能のみに対応し、非対応となった旧式拡張機能は自動的に無効化されます。
これにより、多くの(というか9割方)のアドオンが利用できなくなる状態となり、アドオンの利用を目的にFirefoxを使っておられた方は、非常に困ることになる可能性があります。一部のアドオン作者様はいち早く本バージョンに対応したものをリリースされていますが、今まで使っていたものが全て更新される可能性はそう高くないと思われます。
上記画像のように、アドオンマネージャには「旧式の拡張機能」という項目が表示され、使えなくなったアドオンはこちらで一覧できるようになっています。右側には「代わりのアドオンを探す」というボタンも配置されていますが、ここから代わりのアドオンを探すことはまず難しいでしょう。
私の場合、30ほどのアドオンの内、WebExtensions API対応となっていたものは4個しかなく、実際の運用が難しい状態となっています。
こうしたことから、うかつにアップデートせず、代替アドオンなどで運用のめどが立ってからの更新をおすすめします。
Xmarkなども対応アドオンとして表示されましたが、ログインウィンドウがブラクラのように開くなどの不具合があり、削除せざるを得ませんでした。
■一度アップデートして旧バージョンにダウングレードしても不具合が発生する。
すでにアップデートしてアドオンの問題などから旧バージョンに戻したいという方もいらっしゃるかもしれませんが、旧バージョンをFTPなどから拾って上書きインストールしても、UIが崩れたり動作が不安定になるなどの可能性があります。これを回避するには別ディレクトリに旧バージョンをインストールし、新規プロファイルを作成してから再構築するしかありません。
既存のユーザーにとってはこのようにアドオンの点で更新を躊躇するようなことがあるかもしれませんが、それ以外の新機能やパフォーマンスについては素晴らしい点も数多くありますので、リリースノートに沿って列記していきたいと思います。
Firefox 57.0の主な新機能・変更点は以下のようになっています。
■Project Quantum:最新のプロセッサーが提供する技術を利用できる新しいブラウザーエンジンにより、Firefox52.0と比較して約2倍の高速化を果たしています。
■PhotonUIによって再設計されたユーザーインターフェイス:モダンな外観、一貫性のある視覚要素、タッチスクリーンへの最適化を備えています。
○Firefoxアイコンの変更
○Firefoxメニューも健在ですが、内容がテキスト中心のものに変更されています。
○新テーマが採用されており、アドオンマネージャよりダーク・ライトも選択できるようになっています。
○ロケーションバー右端の「...」をクリックすることで表示されるメニューからは「ページをブックマーク」「ポケットに保存」「リンクをコピーまたは電子メールで送信」「接続されたデバイスにタブを送信」「スクリーンショット」などのコマンドを実行できます。
○オーバーフローメニュー:ツールバーボタンを右クリックして「オーバーフローメニューにピン留め」することによって、ツールバーのスペースを節約することができます。
○オプションウィンドウの刷新
○ツールバーにブックマーク、履歴などの集約ボタンを追加。
■統合されたアドレスバーと検索バー:検索バーが非表示となり、ロケーションバーで通常検索も行うようになりました。元のように検索バーとロケーションバーを分離して利用されたい場合は、オプション→検索にて「検索バーをツールバーに追加する」を選択してください。
■背面で開かれたタブ内のメディアをタブが選択されるまで自動再生しないようになりました。
■新しい新規タブページ:最も頻繁に訪れているサイト、最近見たページ、Pocketからのおすすめ記事 (現時点では米国、カナダ、ドイツのみ) を含む、改良された新しいタブページ:これらの表示は右上の設定ボタンにより変更可能です。
■新規および戻ってきたFirefox ユーザーに慣れてもらうための新しい製品ツアーを付与。
■より少ない消費電力で動画の再生を改善する、AMD VP9ハードウェア動画デコーダーに対応。
■すべてのサイト設定を管理できる、オプション画面内の拡張セクションを追加。
■(Firefoxは今後)WebExtensions API で作られた拡張機能のみに対応し、非対応となった旧式拡張機能を無効化。
■ブラウザーの自動スクロール機能にマウスホイールなど他の入力方式と同様の非同期スクロールを採用し、よりスムーズなスクロール体験を提供。
■Firefox 56でWindowsとmacOS 向けに提供された保護と同様に、Linuxシステム上でファイルシステムの読み書きをブロックする、より厳格なセキュリティサンドボックスをコンテンツプロセスに適用。
■Linuxシステム上で、コンテンツエリア内でマウスの中クリックによる貼り付けを実行した場合でも、その内容のURLへ遷移しなくしなった。
■共有ボタンを削除 (この機能に頼っていたユーザーは、Share Backported 拡張機能で代用可能)
■ATOK 2006、2008、2009、2010を含む一部の古いATOK日本語入力システム (IME) は、Firefox Quantum の Windows 64版ではクラッシュを引き起こすことから、無効化する措置を講じた (この非互換性問題を解決するには、ATOKのより新しいバージョンか他のIMEを使用する必要がある)
■Windows版の日本語既定フォントを、MS PゴシックとMS P明朝からメイリオと游明朝に変更 (等幅フォントはMSゴシックのまま)
■日本語版の組み込みフィードリーダーを、サービスが終了した Live Dwango Readerから、Feedly、Inoreader、AOL Reader、Feed Watcherに変更。
そのほかにも多数の開発者向け機能に関する変更・修正の他、重要度最高を含むセキュリティ問題が15件修正されています。
リリースノート(en)
このように数多くの変更により、かなりの進化を感じることができるアップデートとなっています。
あまりに違いが大きいため、更新をためらうユーザーもいらっしゃるかもしれませんが、アドオン問題などをクリアできるという方は、是非次世代Firefoxのパフォーマンスを体験してみてください。
ダウンロード:Firefox 57.0(mozilla.org)
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