Chrome、safari、IE8などとブラウザ戦争が激化する中、新機能の追加、スピードアップ、安定性の向上などあらゆる方向からチューンされたFirefox 3.5の全貌をレビューしてみたいと思います。
Firefox 3.5は、70言語以上のWindows、Linux、MacOS版がダウンロード可能となっています。
プライベートブラウジング、TraceMonkey JavaScript engineによる高速なブラウジング、位置情報の取得、HTML5のサポートなど、より速く、より安定したブラウジングが行えるものとなっています。
すでにベータ・RC版で体験された方も多いと思いますが、以下にその新機能、改良点などをまとまてみました。
■Gecko 1.9.1レンダリングエンジンの採用。
■TraceMonkey JavaScript エンジンによる高速なブラウジング。
3.0とは別物のJavaScriptエンジンで、Firefox史上最速のブラウジングが可能となります。
また、以前から言われ続けてきたメモリ使用量に関しても大幅に軽減され、軽快なブラウジングが可能となっています。
■プライベートブラウジング
表示したページの履歴、検索履歴、ダウンロード履歴、Web フォーム履歴、Cookie、ディスクキャッシュなどを一切保存せずにブラウジングを行うことができます。
ツール→プライベートブラウジングの開始を選択することで開始できます。
開始直後には以下のようなダイアログが表示され、プライベートブラウジングモードであることが確認できます。
あんなサイトやこんなサイトの痕跡を残したくない時、すかさず有効にするといいでしょう。
ツール→プライベートブラウジングの終了で元のモードに戻ります。
また、オプションの[プライバシー]の設定項目が変更され、「プライバシー情報の消去」が「最近の履歴を消去」に変更されており、情報の消去操作などがわかりやすくなっています。
■タブのドラッグ&ドロップによる新規ウィンドウオープン
タブを現在のウィンドウ外にドラッグ&ドロップすると、そのタブを現在のウィンドウから切り離し、新規ウィンドウで開くことができます。
■Geo-location(位置情報通知機能)
対応するWebサイトを開くと以下のような通知が表示され、OKボタンをクリックすることにより、あなたの現在位置を通知することができるようになります。
これにより、その場所に応じた情報をピンポイントで取得できるなどのメリットがあります。
詳しい内容は、「Firefox の位置情報通知機能とは?」をご覧ください。
また、機能をOFFにしたい場合は、about:configにて、フィルタ欄に[geo.enabled]と入力、表示された[geo.enabled]をダブルクリックし、値を[false]に変更します。
■最近閉じたタブ/ウィンドウ
TabMixPlusをご利用の方にはおなじみの機能ですが、これが標準で使えるようになりました。
タブ・ウィンドウそれぞれ独立して最近閉じたものを素早く復元できるようになっています。
■スマートなセッションリストア
実行した際に小さなウィンドウが表示され、タブを選択して復元することが可能になりました。
■このサイトの履歴を消去
従来、ロケーションバー検索を実行した際、結果を消去したい場合は、一旦表示してからDelキーで消去する必要がありましたが、3.5からは、ブックマークの管理画面にて履歴を表示し、個別に右クリックして「このサイトの履歴を消去」することにより、ロケーションバー検索の結果から除外することができるようになりました。
たとえば、ロケーションバーに[auto]と入力して以下のような結果を得たとします。
ブックマークの管理から、履歴を個別に選択して右クリックメニューより、「このサイトの履歴を消去」を実行します。
次回からは、この結果が除外されるようになります。
■キーワードフィルタ
ロケーションバー検索で表示される結果を、あらゆる方法で絞り込むことができます。
以下のコマンドを追加することにより、ブックマークのみ、タグのみ、履歴のみなどのように絞り込んだ結果を得ることができるようになります。
#:タイトルで絞り込み
@:URLで絞り込み
*:ブックマークで絞り込み
^:履歴で絞り込み
+:タグで絞り込み
例:Firefox [半角スペース]+の場合、Firefoxタグが付与されたものだけを絞り込んで表示できます。
☆絞り込み前
☆Firefox +で絞り込み後
これらはabout:configより[urlbar]項目を呼び出し、絞り込み文字などを変更することが可能です。
また、オプション→[プライバシー]で、ロケーションバー検索で表示する候補を選択することができるようにもなりました。
■重複ブックマークの一括削除
★をクリックしてブックマークを削除する際、同一URLのブックマークを一括で削除できるようになりました。
■HTML5のサポート
プラグイン無しでOggファイルを再生できる[Video/Audioタグ]、ブラウザだけでビットマップを描画する[Canvasタグ]などをサポート。
デモページ
Firefox3.5/Demosでも、Video and Audio、Worker Threads、 3D、Canvas, SVG + CSS など多くのデモを見ることができます。
■ダウンロードフォント
Web制作者が利用したフォントが閲覧者のPCにインストールされていなくても、フォントをダウンロードして表示することにより、制作者が意図したデザインで閲覧することができるようになりました。
■URLクリックが可能になったソース表示
表示→ページのソースで表示されるソース内のリンクがクリック可能となりました。
☆従来のソース表示
☆Firefox 3.5のソース表示
クリックすることにより、画像やCSSなどをその画面内で参照することができるようになっています。
<Firefox 3.5 新機能早わかりビデオ>
以上のように、メジャーアップデートにふさわしい多くの新機能を搭載したタブブラウザへと変貌を遂げています。
その他にも、「タブバーを常に表示する」がデフォルトになっていたりするなど、ユーザーの要望に応じた細かなディファインが施されています。
また、本バージョンからMozilla Fluxさんの記事にもあるように、本バージョンから3.0などの旧バージョンより直接アップデートが可能となっていますので、既存の3.0.×ユーザーもツール→[ソフトウェアの更新を確認]より、簡単にアップデートすることが可能となっています。
*新旧併用したい方はアップデートせずに、ダウンロードして別ディレクトリへインストールしてください。
まだ対応していないアドオンも多いようですが、とりあえずNightly Tester Toolsを利用することでほとんどのアドオンは正常に動作しました。
また、定番の「TabMixPlus」は、現在フォーラムにてdev版の[0.3.7.4pre090516]が配布されており、正常動作することが確認できました。
その他Firefox 3.5に対応しているアドオンの状況は、[Add-on Compatibility Report]をご覧ください。
緑枠内に[3.5]と書かれてあるものは既に対応済みです。
<旧バージョンと分けて利用したい方へ>
アドオンの互換性などの関係で、しばらく3.0.×と併用したい方は、アップデートではなく、単独でダウンロードし、[C:\Program Files\Mozilla Firefox 3.5]などの別ディレクトリにカスタムインストールしてください。
インストール完了後、[ファイル名を指定して実行]にて、[firefox -p]を実行し、プロファイルマネージャにて3.5用の新規プロファイルを作成します。
スタートメニューやクイック起動のFirefox 3.5ショートカットを右クリックしてプロパティウィンドウを開き、[リンク先]部分を以下のように変更します。
"C:\Program Files\Mozilla Firefox 3.5\firefox.exe" -no-remote -P "default(Firefox 3.5)"
*インストールディレクトリが[C:\Program Files\Mozilla Firefox 3.5]で、3.5専用のプロファイルを[default(Firefox 3.5)]とした場合。
これで、3.5を起動した場合、専用のプロファイルで動作するようになります。
同様に、3.0.×のショートカットのリンク先以下に、 半角スペース-no-remote -P "プロファイル名"を記述しておけば、両者を別々のプロファイルで同時起動することが可能です。
アドオンの互換性などの関係で、しばらく3.0.×と併用したい方は、アップデートではなく、単独でダウンロードし、[C:\Program Files\Mozilla Firefox 3.5]などの別ディレクトリにカスタムインストールしてください。
インストール完了後、[ファイル名を指定して実行]にて、[firefox -p]を実行し、プロファイルマネージャにて3.5用の新規プロファイルを作成します。
スタートメニューやクイック起動のFirefox 3.5ショートカットを右クリックしてプロパティウィンドウを開き、[リンク先]部分を以下のように変更します。
"C:\Program Files\Mozilla Firefox 3.5\firefox.exe" -no-remote -P "default(Firefox 3.5)"
*インストールディレクトリが[C:\Program Files\Mozilla Firefox 3.5]で、3.5専用のプロファイルを[default(Firefox 3.5)]とした場合。
これで、3.5を起動した場合、専用のプロファイルで動作するようになります。
同様に、3.0.×のショートカットのリンク先以下に、 半角スペース-no-remote -P "プロファイル名"を記述しておけば、両者を別々のプロファイルで同時起動することが可能です。
この記事をアップしている間にも、Firefox 3.5は多くのユーザーにダウンロードされ続けていると思います。
そんな状況を確認したい方は、3.0の際に公開されていた「Firefox 3 の灯」が、新たに「Firefox 3.5 の灯」となって公開されていますので、そちらで各地のダウンロード状況をチェックすることも可能です。
*世界レベルでのダウンロード状況は[Worldwide Firefox Downloads]で確認できます。(テキストボックスにjapanと入力してEnterキーを押せば日本の順位もわかります。)
最新のFirefoxを使い込めば、さらに快適で楽しいブラウジングを行うことができると思いますので、既存のユーザーも、新たにFirefoxを使ってみようという方も、まずはダウンロードしてそのスペックを堪能してみてください。
7/1:18:00追記
早くもポータブルFirefox3.5がリリースされています。
Mozilla Firefox, Portable Edition 3.5
リリースノート(jp)
ダウンロード:Firefox 3.5(mozilla.jp)
Mozilla japan プレスリリース:Mozilla、Firefox3.5 をリリース!! Web を真にオープンな世界へ
知床財団と Mozilla Japan によるコラボレーションサイト「Discover Shiretoko」
"Shiretoko ショック" が世界中を駆け巡る!
<関連記事>
■Firefox 3.5 RC3リリース。
■Firefox 3.5 RC2リリース。
■Firefox 3.5 RC1リリース。
■Mozilla RC前に[Firefox 3.5 Preview]版をリリース。
■Firefox [3.5] Beta4リリース。
■Firefox 3.1 b3リリース。
■Firefox 3.1 b2(日本語版) 正式リリース。
■[TraceMonkey]搭載「Firefox 3.1b1」日本語版が正式公開されたので使ってみました。
■Firefox3 Beta版に対応していないアドオンを強引にインストールする方法。
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■Firefox 3.1のプライベートブラウジングモードをワンタッチで実行するアドオン「Toggle Private Browsing」
Firefox 3.5をグラス仕様にできるアドオン「All-Glass Firefox」(Win Vista/7)
■Firefox 3.5の新しいロゴデザイン。